失神の種類と診断法|失神.jp

失神の診断

知っているから準備ができる

失神の診断法

問診

失神は、診察時に症状が消えていることが多いため、まずは既往症や前駆症状、意識消失時間などの意識消失時の状況(体動や体位、睡眠不足やストレスの状況、など)についての詳細な問診を行います。正確な情報が多いほどより確実な診断につながります。従って、患者さんには「医師が知りたいポイント」を予めご家族や周りの方に教えてもらい、失神が起きた際の状況を患者さんが把握し、医師に説明できるようにしておくと良いでしょう。

医師が知りたいポイント

  • 初めての失神かどうか、再発の場合はその頻度
  • 前駆症状の有無
    • 頭がくらくらするようなめまい感
    • 動悸・ふらつき感
    • 胸痛
    • 目の前が暗くなる
    • 腹痛
    • 吐き気
    • 気が遠くなる
    • 冷や汗
  • 失神時の状況(運転中、食事中、排尿時や排便時など)
  • 失神時に介護した人の証言(持続した時間、痙攣の有無、開眼していたか閉眼していたか、外傷など)
  • 既往症(これまでにかかったことのある病気、特に心臓の病気)
  • 突然死の家族歴や、本人の失神歴
  • 薬剤の服用(特に降圧薬・利尿剤・抗不整脈薬など)
  • 飲酒や睡眠不足、ストレスなど

失神の検査

失神の検査一覧

失神の検査一覧

基本的な検査

まずは基本的な検査を行います。

<基本的な検査項目>

  • 理学所見
  • 心電図検査
  • 血圧(座位・立位)
  • 胸部のレントゲン検査
  • 採血など

その後、特定の病気が疑われる場合は、 診察結果にしたがって、次にどの検査 (下記a~c)が必要か選択します。

a ) 反射性失神(血管迷走神経性失神)を疑う場合

ヘッドアップチルト試験

傾斜台を使って身体に傾きをつけた状態で血圧・心拍を測定する、自律神経による失神の診断検査です。

反射性失神 心臓電気生理学的検査

頸動脈洞マッサージ試験

心電図を記録しながら頸動脈をマッサージすることで、頸動脈洞過敏が失神の原因(徐脈や血圧低下)かどうかを調べます。通常、ヘッドアップチルト検査台で受動的立位時に施行する方が陽性率は高いと言われています。

長時間心電図

ホルター心電図体外式ループレコーダー(ELR)植込み型心臓モニタ(ICM)などで長時間にわたって心電図を記録し、不整脈の有無を調べます。24時間のものから数年のものがあり、発作の頻度により選択されます。失神時の心電図記録が直接得られれば診断根拠になりますが、同時に血圧低下を来していることも多いため、心電図記録のみでは診断が出来ないこともあります。

失神 | 長時間心電図

b ) 起立性低血圧を疑う場合

臥位と立位での血圧測定

診察室で臥位と立位、あるいは座位と立位での血圧測定を行ないます(収縮期血圧の20mmHg以上の低下を認めた場合、起立性低血圧と診断されます)。傾斜台を使って受動的体位変換(臥位→立位)時の血圧測定で行なう場合もあります(この場合も、収縮期血圧20mmHg以上の低下で起立性低血圧と診断されます)。

心臓超音波検査

超音波を使って心臓の筋肉や弁、心機能に異常がないかを調べます。

自律神経機能検査

ホルター心電図体外式ループレコーダー(ELR)を記録し、不整脈の有無や心拍変動を調べます。

心筋シンチグラム

短時間で体から消失する安全な放射性物質(RI)を注射し、体の表面からシンチカメラで写し、コンピューターで処理をすることで心筋や心臓の各部の動きを調べる検査です。狭心症や心筋梗塞、心不全で心臓の一部あるいは全体の動きが悪いかどうかを調べます。また、心臓交感神経機能異常の有無を調べることも出来ます。

c ) 心原性失神を疑う場合

心臓超音波検査

超音波を使って基礎心疾患の有無や心機能の状態を調べます。

長時間心電図

ホルター心電図体外式ループレコーダー(ELR)植込み型心臓モニタ(ICM)などで長時間にわたって心電図を記録し、不整脈の有無を調べます。24時間のものから数年のものがあり、発作の頻度により選択されます。通常市販されている体外式ループレコーダー(自動記録のない心電計)は、失神や意識消失患者さんでは発作時のイベントボタンが押せず失神時の心電図記録が保存されないことから、一過性意識消失患者さんへの有用性は低いと言われています。従って、一過性意識消失患者さんの場合、自動記録のあるループ式心電計を使用すると良いでしょう。

失神 | 長時間心電図

心臓電気生理学的検査(EPS)

電極カテーテルを用いて、心内心電図を記録しながら心臓に電気刺激を与えることで、不整脈の有無や刺激伝導系の状態を調べます。基礎心疾患や心機能異常を有し、不整脈による心原性失神が強く疑われる場合に施行します。

運動負荷試験

虚血性心疾患の存在や、運動により出現する不整脈を調べるために行います。刺激伝導系の機能を調べることでも用いられます。

失神 | 運動負荷試験

心臓カテーテル検査、冠動脈造影

心造影剤を注入して心臓の血管(冠動脈)のX線撮影することで、虚血性心疾患や弁膜症、心臓の筋肉などの病気を調べます。心機能が低下した患者や基礎心疾患を有する患者さんに対して、その原因を調べる目的で施行されます。国内では、冠動脈攣縮(スパズム)による発作が原因で失神する患者さんも少なくありません。そのため、器質的な冠動脈疾患病変がない場合は、その精査も必要となることがあります。


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